ドラムブレーキを考える。

このHPの更新を、楽しみにしておられる方々は、ご存知のことでしょう。
サイドマシーンに使われているブレーキシステムは、現状では入手するに非常に困難。

市販SS500(H1)を、レーサーに仕上げたもの、それがH1Rである。

私は先ず、このブレーキの出所を検索してみた。

理屈はこうである。レーサーと言っても、ブレーキシステムについては社外品を装着しているはずだ。
ホンダやヤマハ、ドカティやKTMであってもブレーキはニッシンだったりブレンボだったりするのだ。

従って、H1R用のブレーキを探すのではなく、当時のブレーキメーカーから探すほうが、近道と感じたわけだ。



有名な所では、グリメカやカンリンと魅力的なドラムを垣間見れる。
しかし、形状が異なりどうしてもH1Rの造形ではない。

何やら、カー側のいすずフラッシャーが思い出される。

こりゃなかなか手強くなりそうです。



私は幾つか手を打った。

1)バイク関係(特に旧車パーツに強い)にH1Rのドラムの有無を尋ねる。
  そのショップに無くても、他に3店舗ほど聞いてくれとお願いした。

2)ヨーロッパの旧車クラブに、情報を募ってくれとオランダのDmanにメールを送った。

3店舗聞いて欲しいと懇願したのは、私が10店舗回れば、それだけで30店舗に情報が流される事を見込んでだ。
それと、日本では人気のないドラムブレーキだが、ヨーロッパでは未だに制動タッチやスタイルなどが支持され、
ドラムブレーキは今でも根強く脈打っているのだ。



話は前後するが、このブレーキシステムは日本で親しまれていたスクーターやモンキー系のドラムとは、全く異なる物だ。

標準ドラムがシュー2枚なにの対し、このドラムは中央の壁を堺に、左右二組のシューは4枚。
カム状のシャフトにこぜられるようにシューは開き、外壁を押し熱エネルギーに転換する。

その機構が一組のシューに対し一対なのだが、このブレーキは一組のシューに対し上下2箇所存在する。

ドラムブレーキの弱点とされる熱のこもりは、進行方向に設けられたエアースクープから外気が導かれ、熱気は室外へと排出される。

名称の根本となるドラム部分にも熱は蓄積される。
これは空冷エンジンと同様に、背面にフィンを設けることで熱を拡散している。

疑う余地があるだろうか。
ここまで煮詰まった人工物は、芸術性まで帯びている。
自信を持って断言できる。それゆえ代替など考えられないのだ。

ハッ!自分でハードル高くしてないか?

 

そんな事を考えながら、最近ちょくちょく顔を出している「荒木エフマシン(株)」に立ち寄った。

SW「やっとるな」
アラ「こんにちは」

SW「これ何?」
アラ「それアレですわ」
SW「いや、アレって」
アラ「ワーゲンのオイルポンプです。」
SW「ほう」

 

アラ「ワーゲンのオイルポンプはギア式が付いてて、油温が上がると吐出力が下がっちゃうんです。」
SW「で、トロコイド形状にしたってことか。荒木君は車のホイールなんて物も削れるわけ?」
アラ「いけますよ」
SW「ちょっと話そうよ」



SW「一人の男が昔夢見たバイクを復刻しようとしているのさ」
アラ「・・・・・・・・いるのさ。って」

SW「その男の夢に賛同し、今では百人近くの人間が、夢だったバイクを本気で形にしようとしている。」
SW「30年以上も前のバイクで、おまけにレーサー。夢だけで形にする事が、どれほど困難な事か、そのうち現実に打ちのめされ目が覚めるのさ」
アラ「・・・・・覚めるのさ。って・・・・その言い回し気になりますが、どうなったんですか?」

SW「大人になり就職し、会社と言う箱の中で、当初持っていた希望や夢が、実は映画や歌や小説の中にだけ生息するものと分かってくる。
  実は、あの時に持っていた熱い気持ちは、何処かの誰かが考えた物で、できないからこそそれに憧れるのさ。」

アラ「いや、そりゃ違いますよ。」
SW「荒木君は何歳かな?」
アラ「28歳です。」
SW「そう、まだ若いだろうから分からないだろうけど、人間なんて変われると思っているのは自分だけで、実は変えようと準備もしていない者が
  ほとんどなんだよ。誰しも、いつか宝くじが当たるんじゃないかと歳をとるのさ。その証拠に、回りを見渡しても叶えた者など居ないだろ?」
アラ「何か、悲しい話ですね」

SW「因みに、ドラムブレーキ何て削れるの?」
アラ「削れます」

SW「ひょっとしたら、叶えられそうな夢が君の目の前に一人いる。」(考えてみると立場は逆か)
アラ「私で何か力になれるんですか!」
SW「なれるよ君なら!!!!!!!」

てな訳で、「荒木エフマシン(株)」の協力で、H1Rのドラムを無垢から削り出すことになりました。
さて、これも仕上がりまでHPで紹介しますので、お楽しみに。

この辺の部品も造るとなると、次元を越えたプロジェクトに突入ですよ〜。

 

今月は、離職やらブレーキやらで、それほど作業が進まなかったが、
足掛けだけ取り付けたので、掲載しておきます。

 

何か、少しずつでも作業していると、形になりますね。

荒木君。”男は寝ないで夢を見る動物なんですぜい”

2010/07/01現在、仲間は30人。応援メール62通。

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