今回は難しいです。

以前から、隼のニュースクール カスタムには興味が有りまして、機会があれば製作してみたいなと
思っていました。
今回のページは少々長いです。専用工具もバンバン出てきます。コレ見てやってやろう何て考えたくもない。
ひとつ参考にまで見ていただければ幸いです。




オーナーが唯一この形状を、取り入れてもらいたいと手渡されたRカウルです。
バイクの中心部に位置する部品ですから、これから製作しようと思います。

物を造るのには基準が非常に大切です。

仮に量販品のマフラーを取り付けたとしましょう。貴方は基準を考えますか?
普通はそんなこと考えんわな。
だって付くところに、マフラーを持ってゆけば、付いちゃうんだから。な〜んも考えなくても付いちゃうじゃん!

そこでサイレンサーだけ造ってみるとしよう。誰だってマフラーの差込口から製作しますよ。
だってエキゾーストパイプは使うんだから、それが基準となるわけです。

先ほども述べましたが、写真の物はRカウルのトップです。
ここからサイドカウルに振り分けられるので、これを基準にもってくるのは当然の話です。

そのRカウルを調べてみると、5面の構造物で成型されています。
ならばこのRカウル自身の基準はどこになるのか?そうトップ部分です。(ロケット型のステッカーが貼っている部分)




それから、左右に振り分けられた内R部分を見極めておく。写真の通り直径が112ミリの円形がドンピシャ!

それじゃRカウルのトップパーツの製作です。
パーツの幅と長さを10ミリは大きめに切り抜きます。




アルミの材質は溶接性を考慮してA5052。イングリッシュホイールに掛ける前には焼きなましを忘れるなよ。

あらかたの形をハンマリングで叩き、ホイールに掛ける。




比較的アールが弱いので、アンビルローラー(下面のローラー)の曲面は比較的ゆるい物を使った。
今回は極めて弱いローラーも使ったので、ローラーを一つ作りました。

で、引いた感じがこんなものです。




これは新規参入の三本ローラーと言う機械です。

三本のローラーに板を差込み、レバーを回すと綺麗なパイプに成型されます。
エイシンと言う工具屋さんで8000円で購入。その筋のルートだと10万円する工具だぞ!
確かオークションで15000円で売られてたな。みな騙されるなよ!




元の形状をみると、円筒からラジアル方向に垂直カット。
もう片方に角度が付いているので、スパイラル状にカットします。

これも右写真で見る、上下方向の寸法は決まっているので、それを守り左右方向は長めに残しておきます。
切るのはいつでも切れますから。




左の写真はトップとサイドとを組んでみた図ですが、黄色い矢印部分に遊びがあるでしょう?
これはトップに曲線が付いているのに、サイド部分の切り口が、直線の為です。

サイド部分の前後を、グラインダーで削ってしまえば合致するのでしょうが、それでは寸法が狂ってしまいます。
ならどうすれば良いのか?
そうですサイド部分を曲げてやるのです。
シュリンカーで接している部分の寸法を伸ばして、トップとの曲線を埋めます。




どうですか?綺麗に相殺できたでしょう。

これでトップとサイド部分が仮にできました。




そしてRフェンダーの末端部分の製作です。
ここは寸法の割り出しが単純ではないので、型紙を使います。

Rフェンダーが隠れるくらいの紙を外側へ巻きます。それを、しわが寄らないようにテープで止めます。




必要な部分のシルエットを、爪で押し付け型を抜きます。

細い部品であり形状が大きいので、センターから切り二つの部品として切り出しました。




おおよその線は出ましたが、微妙な曲線が入っているために、調整です。




現物と合わせながら微妙な曲線をつけます。

難しいのは「曲がっているのか?」「膨らんでいるのか?」の見極めです。
これだけは経験が必要です。覚えたい人はここへ来るべし!遊びながら勉強しましょう。




パラパラ写真で見るようにあっという間にできました。




続いて後部シートのプレートです。

折り曲げが入り曲げから上方はR仕上げ。下面はフラットです。
サイドとシート台との隙間に空間が有りますが、ここは全体像を見て後半に溶接しようと考えます。

周りの寸法が決まっているので、仕上げは簡単な物です。




そしてサイド部分の製作へ移ります。

ここも型紙を製作します。




製作板金は難しい?確かに難しいかもしれません。

難しいと言うより、教えてくれる人が居ない!これが正解ではないでしょうか。
しかし私は思います。
最も難しいのはデザインです。デザインを制する者は全てを制す!と言っても過言ではないです。
自分の中に生まれた形を、造れば良いだけの仕事ですから。




型紙から切り抜いたアルミ板です。
これをおおよその形に曲げてゆきます。これを「荒出し」と言います。

日本の板金屋さんは修理板金です。
従って、基準になる部位は至るところに存在し、外側から内側へ修正する技法です。

しかし、製作板金になると基準が明確では有りません。この場合は中から外へ製作する手法は珍しくありません。
こうやって「荒出し」しておいて基準になる線を決め、中から外へ追い込んでゆきます。




基準となる曲線を決めその外側を決めます。
日本で言う所の自動車板金とは逆の作業です。




サイドフェンダーの曲線を決めました。
私は次の基準をシートの下面に決めました。




ステップ上部の縁の線が狂っています。
この部分はシュリンカーと言う機械で、アルミ板を縮めます。スッキリフレームに沿うでしょう。




左の写真に掲載されているのが、「シュリンカー」「ストレッチャー」です。
シュリンク縮める。ストレッチ伸びる。
詳しくはここへ!




サイドとトップとの繋ぎ部分です。




本筋とは少し外れますが、オーナーがワイルドなバイクを目指していると言う事で、今回リベット止めに挑戦します。
リベットは重なった板をリベットを使って、張り合わせるものです。

ワイルドなイメージを持たせるリベットですが、リベットの特徴は接合部分に遊びが得られ、亀裂が入りにくいと言う利点があります。
逆に重量がかさむなどのマイナス要素もありますが、相手はバイクなので、さほど問題はないでしょう。

左写真に掲載されている機械はビードローラーという機械ですが、これは自作した物です。(この機械の製作記録も後日掲載予定です。)
上部ローラーと下部ローラーは互いの段差が存在しているので、真っ直ぐな板を差し込みローラーを回転させると段差が発生します。

右の写真のように、段差部分にフラットな板を被せると、表面はフラットになります。
重なった部分にリベットを打つわけです。




綺麗にリベットを打つ手法や工具なども掲載するのでお楽しみに。




まだ本線には戻れません。

ついでなのでこんな工具も紹介しておきます。
これはクリコと言う工具です。

先ほどのリベット加工を行い、リベットを打ってしまうと、パーツの脱着ができなくなります。
何回もパーツの脱着を繰返すプレート ワークには不向きです。
そこでこの工具の出番と相成るわけです。




先ほどあったペンチの先端にクリコを加えます。
ペンチを握っていない状態では先端は閉じています。

ペンチを握るとクリコは圧縮されて、先端が伸びてゆきます。固定されているセンター部分を通り越えて、
先端は絞られ寸法が狭まります。

その状態で二枚の重なった穴の中にクリコを通し、ペンチの握りを開放するとロックされます。
これならパーツの脱着が容易に行えます。




これはちょっと変形版のクリコで単純明解ですね。
バイス型クリコで、通常は閉じています。




握ると口が開き後は挟むだけです。

これなら穴が存在しない場所でもロックできますが、穴用のクリコほど確実なロックは望めません。
そして二つを複合してプレートをロックした図です。




トップとサイドのトップ。サイドのアンダーとなんだかややこしくなってきましたが、写真を見てもらえれば
理解できるでしょう。




ここで裏技です。
左手にカバーを持っているために、Tig溶接の場合は溶接棒が持つことがで来ません。
そんな時は溶接部位に溶接棒をあてがってそのまま溶接します。

こうすると素材を持ったまま溶接できるって訳です。




サイドの分割部分の溶接仮付けの図です。

「ここで若干の誤差は問題ないか・・・・・」ってのは禁物です。
誤差は許されません。
もし溶接熱で誤差が発生した場合は、きっちり直して本溶接しましょう。

溶接熱で歪んだプレートは失敗ではありません。それは必要悪!有ってあたりまえのものです。
小さな歪みはドリー(裏当て具)を受けてアルミの場合は木ハンマーで表から打ちます。




右の写真で、プレートに段差があるのが分かるでしょう。
段差のある部分にドリーを沿わせます。
表から高い部分を叩きます。或いは低い部分を叩きます。

理解できない?そう!じゃここへ来るしかないじゃん!




こんな感じです。

そして先端の方を見ると、大きく寸法が狂っている部位があります。

これは角度の狂いが、先端に行く程大きくなってゆくものですから、仕方ない物です。
しかしこれを無理やり修正すると、プレートは歪んで形そのものが変わってしまいます。

それではバイクのパーツとして成立しなくなります。

叩いて直る物なのか?そうでないかは経験です。それじゃ分からない?じゃここへ来るしかないでしょう。(笑)




このケースは叩くと形が変わりそうなので、ストレッチャーでプレートを伸ばす事にしました。




本溶接し、一部分を軽く磨いてみました。




内側の成型はおおまか出来ましたが、外側の線が決まっていません。

これが先ほどいってた製作板金です。全体像を見ながら余分な部位をカットします。
しかし今は未だその時ではありません。




一部分だけ仮に磨いてみました。いい感じにいっているでしょう?
細かな”ならしハンマリング”など残っていますが。

それとサイドフェンダーの下部のカットが未だ行われていません。
これはチェーンケース&インナーフェンダーのラインが決まっていないからです。

リア カウルとインナー フェンダーは独立した物ですが、自然と繋がった形にしたいのです。
「バイクの全貌をお見せできない」と私は言いました。
これじゃ大体想像付くよ〜何て言わないで下さい。

作業はここから始まったばかりです。形はここからゴイゴイ変わってゆきますから。
そして何人の人がこのバイク見るんでしょうね?

そして続きをお楽しみに!

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