今回はタンクカスタムの依頼です。

はるばる秋田県からのS氏。
カスタム内容を聞いてゆくうちに、こちらの体温も上昇気味。

こうでなくちゃ!

以前、どこかで触れたがなにせ日本人はあるものを欲しがる。

ブレーキやサスペンション、タイヤにホイール等々。この辺は私も理解できる。

しかしだ、外装系はちょっと違うんじゃないかと思うんだ。

有名な話に、日本人の金持ちはフェラーリーやランボルギーニなんかに乗りたがるが、
アメリカの金持ちは「俺のために一台車を造ってくれ。」なんて言うわけよ。

いや。粋です。

モーターを所有しようとする発想がまるっきり違う。

造るほうの気持ちになれば、よ〜し!!クールなあんたに!貴方らしいクールな車両を
造ろうぜ!!!

ってな気持ちにさせられるのよ。

それじゃ行ってみるかい。世界に一台のCB750。

 

S氏の依頼。

CBの雰囲気を残しつつも、シェイプなシルエットを反映する。

私の仕事はまず気になる画像を、3枚ほど見せてもらうところから始まります。

と言っても、ドンピシャ車輛の画像があれば話は早いが、車両じゃなくても問題ないんだ。

それが植物の画像であれ深海魚の画像であれ、自分の気持ちに触れたものであれば
その人物の響く線が理解できてくるものなのだ。

 

で、「こんな形はどう?」なんて話が進んでゆく。

今回のカスタムで気を付けたことは、両サイドのポッテリした部分を引き締めるのだが
このCBタンク下面から上面までの位置が高い。

従ってサイドを絞りすぎると、タンクが立ち上がった印象を与えバランスが死んでしまう。
縦と横の関係を保ちつつサイドの切り込みにかかったってわけさ。

 

両サイドのプレートを切り出し巻き込んでから宛がってみる。

タンク曲面から大きく脱線してるでしょ。これは計算済みでここからが腕の見せ所です。

 

シュリンカーと言う工具を使って、プレート耳部分を広げてゆくとプレートは逆方向に反っていって。

ほらいい感じでしょ。

 

追加作業でこちらからS氏にお願いした。

わたし左写真に見られる溶接シーム耳が大嫌い。従ってこれを排除させてと頼んだのです。

量産部品の代名詞シーム溶接。

これ切り取ると些細なことと思うでしょうが、イメージがガラリと変貌します。
結果は後ほど。

しかしこのタンクあたりかも知れません。ほとんど錆が見られません。
さすがホンダですな。

ヤマハなんて結構厳しいタンクが多いのですが、ホンダがホンダである由縁がこんなところから垣間見えるのでした。

 

概ねのシルエットが見えてくるでしょ?

 

この作業の難関に突入です。

みなさん先ほどのプレートを見てどこが難しいと思われます?

じつは前部のアールが付けられている曲面部分じゃなく、後端のいちばん平らな部分なのです。

この部分は溶接の歪がもろに反映されます。今回もかなり手こずりましたよ。

平らな部分を平らにする。これ板金の極意ですよ。

 

拾いパテを軽く入れてここまでで作業終了です。

色を塗らないのかって?

わたし基本的に色は塗りません。全ての外装品を塗るのなら受けるかもしれませんが、
部分パーツの場合はまず色が合いませんから専門業者に任せます。

 

で完成車がこちらです。

どうですシーム溶接部が無くなればなんかイカツイでしょ。



HPで完成までを紹介したが、どこかの雑誌でお目見えするのはまず間違いないでしょ。

そんとき「この製作工程はHPにアップされてるんだぜ」なんて言っちゃってください。


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